川崎市初のPFI事業である、川崎市立はるひ野小中学校は、「コミュニケーションスクール」という、新しいまちの学校、子どもたちが地域とともに成長できる環境づくりをコンセプトに計画された。
小中学校9年一貫の中で、子どもたち一人一人の成長を学校内だけではなく、地域全体で見守り、豊かに育むことができる建物として、様々な構造において「コミュニケーション」ということを意識的に出来る建て方(配置)になっている。
その特徴一つとして「コミュニティーガーデン」がある。
4棟の校舎がコミュニティーガーデンと呼ばれる中庭を取り囲んでいる。これは子どもたちの登下校、休み時間や授業中、その他にもあらゆる場面においてコミュニケーションが誘発されることを意識した配置である。
また、校内は、ガラスを多く使用し、子どもたちの活動の様子が誰の目にも入るように配慮されている。他のクラスの様子も見える設計なので、子どもたちの学習への興味・意欲を助けるものと期待されている。
そのほか、小学校から中学校への移行をスムーズにするための交流ラウンジの設置など、子どもたちの成長に合わせたコミュニケーションの仕掛けづくりが学校全体で細かく行われている。



「小学校」「中学校」だけではなく、「わくわくプラザ」「地域交流センター」を加えた4つの機能を持つ複合施設となっており、どの場所でも、学年を超えて、地域を含めて交流できることが大きな特徴になっている。
吹き抜けやオープンスペースなど、複雑な構造は、そういった環境を整えるための配慮が具現化されたものである。
『初め、図面をまだ見ていない段階で視察に行きました。その新地(さらち)を見た時は、広大な土地に自分たちはどのような学校を建てるのだろうという思いが真っ先にありました。今思えば、自分が初めて携わるスケールの大きさに不安を覚えたのかも知れません。ただ、それと同時に、この場所にたくさんの人から喜ばれる素晴らしい学校を建てたいという、漠然した意気込みもありました。』(齋藤)
不安と期待、それは施工担当としての素直な気持ちだったのであろう。
しかし、その後図面を読み、建物の全体像を理解していく中で、学校だけではない様々な機能を持った建物を実際に完成するまでの手順を頭に描いていた時には、不安は消えていた。
『大規模で、複雑な工事になるため、何度も検討しながら最善のものを最善のタイミングで行うように、常に努めてきました。その中でも印象に残っているのがA棟の大アリーナです。この大アリーナは、階高13メートル、スパンが30メートルの大空間で、さらに大アリーナの屋上には、プールが設置されるという中で、仮設足場や支保工の設置等も苦心しながら行いました。また天井(床)を支える梁は強度を考え「現場打ち一体式プレストレスト鉄筋コンクリート造」を使用すること等、一つずつクリアにしていき施工しました。出来てみれば、一つの大きなアリーナですが、それまでの過程に様々な検討箇所があることを再認識しました。大アリーナに限らず、他の各工区においても様々な用途、構造、収まりがあり、私自身とても勉強になるものばかりでした。』(齋藤)