プロジェクト
ストーリー
Project
西麻布三丁目北東地区第一種市街地再開発事業
施設建築物B街区新築工事
プロローグ
都市の再開発が進む西麻布三丁目。
その一角で松井建設が担ったのは、
街の新しい風景の一部となる建築であると同時に、
社寺建築の価値を未来へ繋ぐ仕事でもありました。
超高層ビルや広場と調和しながら、社寺建築の価値を次代へ繋ぐ。
都市ならではの条件と、伝統を守るモノづくりの両立が求められる
難度の高いプロジェクトです。
この現場に携わった4人のメンバーに
工事の特徴や苦労、そこで得た学びについて語ってもらいました。
プロジェクトメンバー
-
T.S
社寺建築部 副部長/
1990年度入社 -
A.U
建築部 工事課/
2021年度入社 -
K.I
建築部 工事課/
2018年度入社 -
K.M
建築部 工事課 工事長/
1999年度入社
技術だけでは進まない。
問われる調整力と対話力
Theme 01
K.Mこのプロジェクトで大きな課題となったのは、確認や調整の相手がとにかく多いことです。直接的なお客様となるお寺だけを見ていればいいわけではなく、再開発組合や事務局、他の街区の施工会社、行政など、関係者が非常に多い。また近隣対応も含めて、現場以外の調整業務にかなりの労力を使いました。
A.U現場レベルでも、他社さんとの工程調整はかなり大変でした。例えば、こちらの敷地内に置いていた仮設物や資材置き場を、他の街区の工事の都合で一度移動してほしいと言われることもありました。こちらにも工程上の都合があるし、相手にも事情がある。その中で、どうやって現場全体を止めずに進めるかを判断する難しさがありました。
T.S建築の技術的な面でいうと、今回は特に構造の難しさが印象に残っています。お寺側は木造での建築を希望されていましたが、一方で都市計画上の耐火要件がある。そこで今回は、鉄筋コンクリート造をベースに視覚的に木を見せる形をとり、伝統的な社寺の表情を保ちながら法的な条件も満たす、いわばハイブリッドな建物をつくる必要がありました。確認検査機関や行政も含めて、関係者の多くにとって経験の少ない領域だったので、まさにパズルを解くような難しさがありました。
K.I本当に毎日が想定外の連続でした。建築に関する新しい仕様も多くて、T.Sさんでも経験がないような納まりが出てくることもありました。そうなると、図面だけでは答えが出ないんです。まず所長に相談して、さらに現場の職人さんにも相談して、皆さんの経験を借りながら進めていく。そういう積み重ねの連続でした。
K.Mそんな難しいプロジェクトでも、お引き渡し直前という今の段階までたどり着けたのは、お客様に「松井建設に頼んでよかった」と思っていただこうという信念が一番大きかったんじゃないでしょうか。社寺建築は、ただ完成すればいいというものではありません。思わず手を合わせたくなるような質の高い建物になっているか、完成したあとに喜んでいただけるか。そこは最後までぶらさずに持っていた軸です。
現場で感じた成長、
先輩が伝えたいこと
Theme 02
A.U私がこの現場を通じて感じたのは、現場は知識だけでは成り立たないということです。もちろん技術は必要ですが、それと同じくらい、人とどう関わるかが大切だと実感しました。打ち合わせの場でどう伝えるか、相談しやすい関係性をどうつくるか。そうした関係づくりまで含めて学べたことが大きな収穫でした。
K.I私は、自分の担当だけに集中するのではなく、次に何が起こるか、その先で誰が困るかまで想像して動くことが大切だと学びました。その意識があるかないかで、現場での働き方は変わるんです。大規模プロジェクトだったからこそ、その必要性を強く実感しました。
T.S逆に私たちも、若手の感覚から学ぶことが多いです。こちらには経験があるが故の「固定観念」がありますが、彼らはそこに縛られずにユニークな発想ができる。時には「こういう考え方もあるのか」と気づかされることもあります。若手には、遠慮せず新鮮な感覚をぶつけてほしいですね。
K.M実際このプロジェクトでも、問題が起きたときには「どう思う?」と二人に意見を求めるようにしていました。若い感性が、問題解決の糸口になることもありますから。
T.S若い二人には、わからないことがあるのは当たり前だと思っています。だからこそ、まずは自分で考え、そのうえで周囲と対話することが大事です。すぐに答えだけを求めるのではなく、なぜそうするのかを知ろうとする姿勢が、次の成長に繋がると思います。
この経験を、次の現場へ。
未来の仲間へ
Theme 03
A.U今回の現場では自社設計であったこともあり、構造設計やICT、BIMなど、社内のいろいろな部署の方に相談する機会がありましたし、プロジェクトを現場で支えてくれる協力会社との関係も深まりました。そうやって現場の中で築いた繋がりを、次の現場でも活かしていきたいです。
K.I私はこの経験を活かして、今後もっと大きなプロジェクトを引っ張っていけるようになりたいです。課題にぶつかったときに、自分で解決策を考えて前に進められる人になりたい。そのための土台を、この現場でしっかりつくっていきたいと思っています。
T.S二人が感じた通りだと思いますが、さらにもう一つ付け加えるとすると、社寺建築は「建てて終わり」ではないということ。建立後にどう守り、どう受け継いでいくか、長いスパンでお客様との関係性や建物の品質を考える必要があります。
K.Mそうですね。「社寺のことなら松井建設」と言われる信頼を、長く守ってもらいたいですし、その一員として、自信を持って仕事に向き合える人に育ってほしいです。社寺建築は、一般建築とはまた違う奥深さがあります。その魅力を知って、自分の強みにしていってくれたら嬉しいですね。
A.UK.Mさんがおっしゃるように、松井建設といえば、やはり社寺建築です。ここでしか関われないような現場がありますし、お寺や神社が好きな人にとっては、その建物がどう施工されていくのかを間近で見られる、とても貴重な環境だと思います。これから入社される未来の仲間にも、その強みは伝えたいと思います。
K.I私はこのプロジェクトの前には一般建築を担当していたこともあり、社寺建築だけでなく、様々な建物にも携われるのが松井建設の魅力だと思います。規模や種類が異なる現場を経験できるので、幅広く成長したい人には本当に面白い会社です。建築業界を目指す多くの方に、松井建設のプロジェクトへの興味を持ってもらえたら嬉しいです。


社寺建築の価値を
表現する
今回の現場では、再開発事業の一環として進められている街区内で、社寺建築の施工に携わっています。ここまで大規模な再開発地区内で社寺を新たに整備していくというのは、当社としても珍しい取組みでした。単に建物を建てるだけではなく、街全体が大きく変わっていく中で、その風景の一部として社寺がどうあるべきかを考えながら進めてきました。
私は設計担当として主に設計図書の作成と技術面や全体調整のフォローをしてきました。私がこの計画に関わり始めたのは5年ほど前ですが、計画自体は30年以上前からスタートしていました。それだけ壮大なプロジェクトということもあり、正直、「本当に竣工までたどり着けるのか」という不安もありました。
若手の立場から見ても、最初から「普通の現場ではない」という感覚はありました。隣の街区の工事とも関係しながら進めていくので、課題が自分たちだけでは完結しないんです。K.Mさんが頻繁に調整のためのミーティングに向かう姿を見ていて、この現場の複雑さを実感していました。
再開発という大きな枠組みの中にあって、さらに他の施工会社も絡んでいる。だからこそ、自分たちの仕事だけに集中すればいいわけではなくて、周囲との関わり方も含めて現場を見ていく必要がある。その意味で、最初から学ぶことの多い現場だと感じていました。